第94章 こんな悪魔のような親がいるのか

「おそらく私たちの国には王子様がいないからこそ、このように率直に話せるのでしょう。もし失礼なことがあれば、加登王子様にはどうかご容赦いただきたいと思います」橋本燃は堂々と言った。

加登王子は沢田慕人を見て、流暢な英語で言った。「私は英語を話すことはできますが、英語の契約書を読むのはまだ難しいです。アラビア語の文書を見る必要があり、アラビア語の通訳が必要です。

沢田社長の通訳が遅れたことについては問題にしませんが、沢田社長の通訳がこの美しい女性でなければ、沢田社長との協力について話し合いを続ける気にはなれません」

沢田慕人は急いで喜びを隠せずに言った。「加登王子様、ありがとうございます。すぐに橋本さんに手伝ってもらえるよう頼みます」

「橋本燃さん、私のアラビア語の通訳を手伝ってもらえますか?」沢田慕人は助けを求めるような目で尋ねた。

「もちろんです。ただし、協力が成立したら、私にも報酬をくださいね」橋本燃は輝くような笑顔で言った。

「それは当然です!」

「お父さん、お母さん、先に帰っていてください。私は沢田社長の通訳を少し手伝います」橋本燃は藤原月子を見て、優しい声で言った。

「燃姉さん、あれはユダ国で最もハンサムで若くてお金持ちの王子様よ。西洋の権威あるメディアが世界で最もハンサムな王子様と評価したのよ。

さっきあの王子様に何を言ったの?王子様があなたを愛情たっぷりの深い目で見て、あなたを通訳に指名したわ。

それに、いつアラビア語を学んだの?私たち義理の姉妹に秘密はないって約束したのに、私に内緒で勉強してたなんて、ひどすぎるわ」温井時花は加登王子に夢中になりながら橋本燃を責めた。

「そうよ、燃、いつアラビア語を学んだの?」藤原月子も驚きの表情で橋本燃を見つめた。

彼女は橋本燃が何を言っているのか理解できなかったが、橋本燃が輝きを放ち、比類なき美しさを見せる姿を見るほど、ますます好きになっていった。

「あの数年間、暇だったから、いくつかの外国語を学びに語学学校に行っただけよ。大したことじゃないから言わなかっただけ。先に行くわ、あなたたちは早く帰ってね」

橋本燃はそう言って、沢田慕人と一緒に加登王子の側に歩いていった。