第151章 伊藤千恵死亡の真相

橋本燃は車が1時間ほど走ってから停まったと感じた。

彼女はトランクから引きずり出され、顔を地面に向けたまま重く地面に投げ落とされた。そして山の上でのように、引きずられながら歩かされた。

幸い、ここは平らな道だったので、以前のように体が岩で擦れて痛むことはなかった。

何度か曲がった後、燃の体は止まった。

「先生、あなたが欲しがっていた人間を、兄弟たちが連れてきました」

「開けろ!」

その男の声を聞いて、燃の心は凍りついた!

松本羽源だった。

やはり彼女の予想通りだった。

松本夕子が羽源の手を借りて彼女を排除しようとしていたのだ。

黒い袋が開かれ、髪は乱れ、顔中に打撲傷を負い、口は布で塞がれた燃が羽源の前に現れた。

羽源の目に宿る危険と殺意を見て、燃の瞳は冷たく澄んでいた。

「橋本燃、こんな日が来るとは思わなかっただろう?」羽源は冷笑しながら尋ねた。

「この誘拐犯たちを見た時点で予想できたわ。私を誘拐したのはあなたのような愚か者に決まっていると」

燃は顔中が惨めな状態だったが、地面に座っているだけで、その身からは不屈の冷たい気品が漂っていた。

「死に際まで強がるとは、お前の口が堅いか、それとも俺の靴が硬いか、試してみるか」羽源はそう言うと、重い一蹴りを燃の胸に見舞った。

燃は一気に地面に倒れ込み、胸の中で血と気が急速に逆流し、呼吸が乱れ、気を失いそうになった。

「松本羽源、あなたの姉の松本晴子を殺したのは私じゃない。夕子よ。もしあなたがまだ生きたいなら、私を解放しなさい。もし私が死んだら、次に死ぬのはあなた、そしてあなたの母、父。夕子は松本家の全員を殺して、長年異能力を学び、苦痛に耐えてきた恨みを晴らすつもりよ」燃は真剣な眼差しで羽源を見つめた。

羽源の目が驚きに見開かれた。燃がどうして夕子が異能力を学んでいることを知っているのか?

羽源の心を読んだかのように、燃は続けた。「本来なら私はこの世界に異能力が存在することを知らなかった。でも世界は広く、奇妙なことはいくらでもある。私が救った出前配達員の妻は、まさに異能力の修行者だった。

配達員が目を覚ますとすぐに、夕子はとても邪悪で、おそらく異能力を修行している人間だと私に告げた。最初は半信半疑だったけど、晴子の埋葬の日に、私は葬儀場で晴子の傷を見に行った。