第196章 彼女を好きになる資格があるのか

「だめ!」

「だめならだめでいいけど、そこまで酷くしなくてもいいじゃないか?」小林勝は足の傷口から骨が露出しているのを見て、人生で初めて泣くよりも醜い顔をした。

「何が手加減だ?相手が一発で痛みを恐れるほど、一発で諦めさせるような攻撃こそが、本当の攻撃だ」橋本燃は顔も上げずに勝の傷口に薬を振りかけながら言った。

燃が薬を振りかける様子を見て、勝はどうしても羊の串焼きにクミンパウダーをかけているような錯覚を覚えた。

燃が勝の傷口を包帯で巻き終えると、勝はすぐに布団で足を覆い、まるで死んだ豚がお湯を恐れないかのような態度を取った。

「どんなに手厳しくされても、僕は君を諦めないよ。君が僕のことを好きでなくても、僕は君を追い求める」勝は燃を見つめ、決意を込めた目で言った。

燃は彼に明るい笑顔を返し、はっきりとした声で言った。「たとえ天の果てまで追いかけてきても、海が枯れ石が朽ちても、私はあなたを好きにはならない!」

そう言い残すと、颯爽とした背中を勝に見せて去っていった。

「何を言われても、僕は諦めないよ」勝は燃の背中に向かって再び決意を表明した。

「お前は彼女を好きになるな!」山田睿は冷たい声で言った。

「なぜ?山田隊長、まさかあなたも彼女が好きなの?」

「ふざけるな……俺はお前みたいに浅はかじゃない、見た目で判断するなんて!」

「僕は見た目で判断してるわけじゃない。彼女を本当に尊敬してるんだ。あんなに知性と勇気を兼ね備え、物事をきっぱりと処理する女の子を見たことがない。

彼女を妻にできたら、僕の人生で最も光栄なことだ。簡単には諦めないよ」勝は真剣な表情で言った。

「でも彼女が言った通り、お前が天の果てまで追いかけても、海が枯れ石が朽ちても、彼女はお前を好きにはならないだろう」

「なぜ?」

睿は皮肉っぽく白目をむいた。「前にも言っただろう、白鳥の肉を食べた者が、カエルの肉に戻れるわけがないだろう?」

前回、睿が温井時雄を白鳥と呼んだのは、彼の美しすぎる容姿を皮肉る意味があった。

今回は、心の底から時雄の神々しい美しさを称えていた。

彼が心の中で10年間闘ってきた夢は、時雄の助けを借りて、ついに成功裏に完成した。

彼はついに兄の無残な死の仇を討ったのだ。

「くそっ……」勝は怒って枕を取り、睿の頭に投げつけた。