第261章 今生来世、二度と会わない

「バカじゃないのね、こんなに早く気づくなんて。あなたを刺激して、褒めて、子供を産む希望を与えたら、あなたは私の言葉に惑わされて、方向感覚を失うと思ったのに!」橋本燃は冷笑しながら返した。

田中雪満は自分が騙したことについて言及せず、橋本燃も何を騙したのかについては触れなかった。

彼女は温井時雄に、自分が解毒方法を知っていることを知られたくなかった。

「ハハハ、方法を知ったところで無駄よ。ここには天の網を張り巡らせたわ。すぐにあなたたち二人を冥府へ送って、死後の恋人同士にしてあげるわ」雪満は激怒して叫んだ。

「田中雪満、悪役がどうやって死ぬか知ってる?」

「どうやって?」燃の突然の話題転換に、雪満は思わず尋ね返した。

「もちろん、おしゃべりのしすぎよ!」

温井時雄は燃が彼の前に立っている姿を見つめていた。彼女は傷だらけで惨めな状態なのに、まるで金色の仏像のように、眩しい光を放っていた。

どんなに危険な場所にいても、彼女は冷静に対処し、恐れを知らないようだった。

時雄は心の中で誓った。こんなに輝く女の子を、必ず守り抜こうと。

そう思いながら、時雄は一気に燃を後ろに押しやり、素早く前に飛び出した。

後ろに押しやられた燃は前に出ようとしたが、腕がロープで縛られていることに気づいた。彼女はロープを解こうとしたが、非常に複雑な結び目だった。

解こうとすればするほど、ロープはきつくなった。

燃は仕方なく、指輪についている小さなナイフでロープを切ることにした。

力を込めてロープを切りながら、外での時雄の戦いの様子を見ていた。時雄は敏捷なチーターのように地面を駆け回り、すぐに屋上に潜んでいた数人の黒服の男たちを倒した。

しかし屋上には多くの敵が潜んでおり、時雄が一波を倒すと、また次の一団が現れた。すぐに、時雄の足は銃弾を受けた。

このとき燃はロープを切り、時雄の頭部を狙っていた黒服の男を撃ち倒し、時雄の側に駆け寄って守りながら、彼を引っ張って敵を攻撃した。

二人とも身のこなしが素晴らしく、冷たい眼差しと優雅な動きで、強力なコンビを組んだ。彼らは撤退するにしても攻撃するにしても足並みが揃っており、見る者を驚かせた。

すぐに二人は防御から攻撃に転じ、雪満が配置した人々をすべて倒した。

隠れていた雪満だけが残った。