小林玲子と高橋啓川が寝る準備をしていた時、高橋啓川は緊急の電話を受け、急いで服を着て出かけた。
玲子はベッドに横たわり、心臓がドキドキと鳴り、何か大きな出来事が起こりそうな予感がした。
彼女がベッドの上で寝返りを打っている時、吉田蘭子からの電話がかかってきた。
玲子の目に失望の色が浮かんだ。どうやらこの愚か者は手を出さなかったようだ。
もし彼女が行動していたら、橋本燃の性格からして、死んでも蘭子を道連れにして、黄泉の道で一緒に歩かせただろう。
玲子はマナーモードにして応答しないことにした。電話は自動的に切れたが、すぐにまた鳴り始めた。
玲子の目には嫌悪の色が満ちていたが、結局電話に出た。
「義妹さん、こんな遅くにどうして寝ないで……」
「お義姉さん、私……私は橋本燃を殺しました!」
電話の向こうから、蘭子の恐怖に震える声が聞こえた。
玲子は急にベッドから飛び起きた。「何ですって?」
「私、私は、橋本燃を殺しました。あなたが木村洋一と燃は仲が良いから、洋一が介入すれば、あなたのお兄さんは若渓を助けることができないと言ったじゃないですか?私が燃を殺せば、洋一はもうこの件に関わらないでしょう。」蘭子は震える声で言った。
「どうしてそんな風に私の言葉を理解したの?私は洋一がいれば、兄は介入できないと言っただけで、燃を殺せとは言っていないわ。どうしてそんな大きな愚かなことをしたの?」玲子の心の中では言い表せないほどの喜びがあったが、声は心配そうに責めるように言った。
「お義姉さん、私は今あなたの家の外の植え込みに隠れています。行くところがないんです。お願いです、助けてください。一時的に身を隠させてください。」
玲子は心の中でハッとした。「ダメよ、あなたは人を殺したのよ、今は殺人犯なの。もし私があなたを匿えば、犯罪者を庇った罪に問われるわ。あなたを入れることはできないわ、早く別の場所に隠れなさい。」
「お義姉さん、あなたが言葉の端々で私を燃に向かわせたんです。私が燃を殺したのはあなたのせいです。もしあなたが私を隠してくれないなら、法執行官が私を見つけたとき、あなたが指示したと言いますよ。」
「蘭子さん、どうしてそんなに理不尽なの?私がいつ燃を殺せと指示したというの?それに燃は天才神醫で、身体能力も高いわ。あなたに殺せるはずがないでしょう?」