第395章 早めに損失を止めるのが良い

「そうよ、私がやったのよ。私が裏で観客を買収して、あなたに投票させないようにした。あなたを最下位にして、笑い者にしたのよ。どうするつもり?」橋本燃は挑発するような目で温井詩葉を見た。

詩葉は怒りで体を震わせ、指で燃を指さしながら、目には燃えるような憎しみを浮かべた。「あ、あなた、腹黒い悪魔みたいな魔女!殺してやる!」

詩葉が燃に向かって突進しようとしたが、林田笑々と藤原玉恵に引き止められた。

「詩葉、怒らないで、落ち着いて。橋本先生はただ冗談を言っているだけよ。先生が観客を買収するようなことは絶対にしないわ。私たちと2位、3位との票の差はそれほど大きくないし。

あとで先生とのデュエットで高得点を取れば、逆転する可能性は十分あるわ。まずは心を落ち着けて、デュエットで最高のパフォーマンスをしましょう」笑々は詩葉を抱きしめ、優しい声で慰めた。

「そうよ、笑々姉さんの言う通りよ。橋本先生はいつも公平公正だし、この番組のプロデューサーの一人でもあるわ。あれだけのお金を投資したんだから、自分の番組を台無しにして損をするようなことはしないわよ」

「温井詩葉、二度も最下位になったのには理由があるのよ。チームメイトと比べると、あなたは本当に頭が悪くて考えなしね。番組のルールでは、キャプテンが連続で二回チームを最下位に導いた場合、実力のないキャプテンは脱落することになっているわ。

このあとのデュエットで、あなたがきちんとパフォーマンスしないと、第4回公演で終わりよ!」燃は詩葉に大きな軽蔑の白い目を向け、長々と立ち去った。

燃が去った後、秋山書蕾がやってきて、笑々と一緒に詩葉を休憩室に連れて行き、二人は詩葉をしばらく慰めた。

公平を期すため、審査員とキャプテンのデュエットはすべて歌唱パフォーマンスだった。

燃と詩葉は最後に舞台に上がることになっていた。

もうすぐ燃と詩葉の出番だった。

「書蕾、安全のために、詩葉がこれから使う小道具をもう一度チェックしてくれない?何か交換が必要なところがないか見て、舞台で問題が起きないようにして」

笑々にアシスタントのように命令されて、書蕾は心の中でとても不快に感じた。

しかしカメラの前では、どんなに嫌でも表に出すことはできなかった。

「わかったわ、今行くわ!」