「ん?」陸橋北都の心地よい声は、柔らかく、そして甘美に応えた。
夫婦の息の合った対応に、久保明里はまだ反応できず、一瞬で呆然と立ち尽くした。
後藤澄玲は故意にやったのだ、彼女は絶対に故意だった。
しかし陸橋北都が彼女に協力して、応じたのだ、それもあんなに甘美に。
「北都お兄さん」久保明里は信じられない様子で陸橋北都を見つめた。まるで目の前の陸橋北都が、彼女が以前知っていた陸橋北都ではないかのように。
我に返り、彼女は後藤澄玲に目を向けた。「後藤澄玲、あなたは絶対に北都お兄さんに薬を飲ませたのね。本当は今日はあなたの顔を立てて、あなたの醜い行為を公の場で暴露するつもりはなかったけど、あなたは傲慢すぎる。北都お兄さんを全く眼中に入れていないわ」
そう言うと、久保明里はバッグから携帯を取り出し、アルバムを開いて陸橋北都の前に差し出した。「北都お兄さん、後藤澄玲がまともに見えるかもしれないけど、実は既に浮気しているのよ」