第62章 彼はやはり自制できなかった

夏目孝程が話し終えると、後藤澄玲は顔を彼の方に向け、この話題に興味を示した。

そのとき、夏目孝程は続けて言った。「社長は断りました。このプロジェクトは後藤グループが多くの準備をしてきたので、後藤グループの方が適しているとのことです。また、上層部にも、後期の工事で後藤グループが必要とするなら、陸橋氏は全力で協力すると表明しました。」

後藤啓華が南開発区のプロジェクトを気にしていることを知っていたので、陸橋北都は最初から関わらなかった。そうでなければ、後のあれこれはなく、とっくに陸橋氏グループのものになっていただろう。

夏目孝程が話し終えると、後藤澄玲は少し笑って黙っていた。

陸橋北都が上からの誘いを断ったことに、彼女は少し驚いていた。

夏目孝程はその様子を見て、勢いに乗って言った。「若奥様、実は社長はあなたのことをとても気にかけています。あなたの知らないことがたくさんあるんです。」