第172章 血と肉と共に彼の指輪を外す

自分の左手を上げると、彼からもらった指輪がまだ指にはめられていた。

白い手を見つめ、後藤澄玲は指輪を外そうとしたが、指輪はあまりにもきつく、全く外れなかった。

陸橋北都はその様子を見て、彼女の先ほどの言葉を思い出し、「後藤澄玲」と呼びかけた。

澄玲は彼に応じず、顔を上げて彼を見ることもせず、ただ力いっぱい引っ張って、薬指から指輪を少しだけ引き抜いた。

次の瞬間、指輪の周りから新鮮な血が滲み出てきた。

後藤澄玲は心が痛むほど痛かったが、少しも躊躇わずに指輪を薬指から引き抜いた。

一瞬のうちに、指から血が流れ、指輪には一緒に引きはがされた皮がついていた。

心まで痛む感覚に後藤澄玲は皮肉を感じた。指輪についた皮は、まるで彼女がこの結婚生活で剥がれた皮のようだった。

表面上はいつも笑顔で気にしていないふりをしていたが、本当に気にしていないわけがない。多くの場合、ただ強がっていただけだった。