第169章 それであなたと澄玲はどうするつもりなの

先日、藤之森市新区プロジェクトの責任者が深井唯一だと聞いていた。これは彼女が会社に入って最初のプロジェクトだった。

陸橋北都と深井唯一の以前の関係、そして唯一の今回の復活を考えると、後藤啓華の心には当然不安が走った。

北都と彼女がどんな関係で、今はどうなのかは関知しないが、彼は個人的な感情と仕事を区別できないことが非常に嫌いだった。

この数年間、澄玲が北都と結婚していても、両社は彼らの感情を絡めてこなかったのと同じように。

しかし陸橋北都が自ら来たからには、後藤啓華も何も言えず、ただ北都を見て尋ねた。「それで北都、君はどうしたいのかね?」

後藤啓華が尋ねると、陸橋北都は単刀直入に言った。「お父さん、このプロジェクトを大輝に譲ってほしいんです」

陸橋北都は深井唯一の名前を一言も出さなかったが、後藤啓華がそれを理解しないはずがなかった。