第177章 この結婚を承諾した時、私は離婚を考えていなかった

後藤澄玲が口を開く前に、陸橋北都はまた言った。「後藤澄玲、離婚のことは考えるな。」

当初この結婚を承諾した時から、彼は離婚するつもりはなかった。

後藤澄玲は陸橋北都が離婚に応じないのを見て、じっと彼を見つめた後、手に持っていた朝食をポンと脇に置いた。

その後、顔を窓の外に向けて黙り込んだ。

十数分後、車が法律事務所の前に停まると、後藤澄玲は振り返ることもなく車を降りて歩き去った。

深井唯一がよみがえったのだから、彼女は陸橋北都がいつまで演技を続けるか見ていくつもりだった。

後藤澄玲が法律事務所に入るのを見送り、彼女の姿が消えてほんの少しすると、陸橋北都の電話が鳴った。深井唯一からだった。

電話に出ると、深井唯一の優しい声が聞こえてきた。「北都、会えないかしら?」