第253章 嫁さん、少しお金を送って

後藤澄玲は陸橋北都がまだ口を開く間もなく、彼女のポケットの電話が鳴った。千田秋穂からの電話だった。

後藤澄玲は電話に出た。千田秋穂が言った。「澄玲、まだ帰ってないの?たまちゃんが今夜はどうしても待つと言って、先に寝ようとしないのよ」

「お母さん、もう玄関に着いたところよ」電話を切ると、後藤澄玲は顔を上げて陸橋北都を見た。「道を塞いでるわ」

千田秋穂の一本の電話で、後藤澄玲はちょうど陸橋北都の先ほどの質問をうまくかわした。

たまちゃんが家で後藤澄玲を待っているので、陸橋北都も引き止められず、手を上げて軽く彼女の顔に触れた。「土曜日は時間ある?たまちゃんも一緒に食事でもしよう」

後藤澄玲は「たぶんないわ」と言った。彼女の意図は明らかに断りだった。

陸橋北都は「じゃあ週末になったら具体的に見てみよう」と言った。