150 勝山帝が動き出した【1更】

番組制作チームはこの時、頭を抱えていた。

この番組はもともと星光エンターテイメント自社の番組で、他の二つの芸能プロダクションを招いて参加させたものだった。

誰も最終的に事態がこうなるとは思っていなかった。

庄司曜之は芸能界とネット全体に与える影響力が大きすぎる上、番組制作チームのケア不足で心臓性突然死したという暴露情報も少なくなかった。番組制作チームは知らないふりをしようとしたが、結局は声明を出さざるを得なくなった。

しかし、この声明は暴れるファンや一般視聴者を落ち着かせるどころか、新たな論争の火種となってしまった。

【あなたたちは自分がどんな番組を作っているか分かってる?医療体制は整ってた?タレントの体調を考慮した?何が突発的な事故だよ、当たり前だろ!】

【信じない。多くの情報筋が庄司影帝は心臓性突然死だって言ってるのに、デマだって?じゃあ証拠を出してみろよ。】

【星光エンターテイメントが所属タレントを搾取してるのは今日昨日の話じゃない。知らない人もいるだろうけど、去年だって、ある俳優が追い詰められて飛び降り自殺したのに、星光は補償金すら払わなかった。でも本当に驚いたのは、庄司影帝にまで手を出すとは。驚きを通り越して呆れるわ。】

これらの罵倒コメントの中に、まったく異なる内容のものがあった。

【迅速な救命?迅速な搬送?嘘つけ!私は現場にいたんだ。曜之が地面に倒れて5分経っても、そばにいたスタッフは見向きもせず、おしゃべりして笑ってた。私たちファンが近づこうとしたら止められた。これが故意の殺人じゃなくて何なの?!】

しかし、このコメントは投稿されてから十数秒で削除された。

コメントを投稿したファンのIDも、リアル脱出ゲーム制作チームにブロックされた。

このコメントを削除したのは、番組の総監督だった。

総監督は背中から冷や汗が噴き出し、心臓がバクバクしていた。

彼は恐怖を押し殺し、震えながらテーブルの向こう側にいる女性を見つめ、唾を飲み込んでから苦しそうに尋ねた。「冬、冬木社長、どうしましょう?」

その女性こそが星辰エンターテイメントの取締役会長、冬木芸子だった。

彼女は高貴で冷淡な表情で、鏡を見ながら口紅を塗っていたが、この言葉を聞いて初めて手元のものを置いた。