確かに、帝都を出ると、夢野家の名声は松本家や根岸家に遠く及ばず、一般人には知られていなかった。
さらに、五条家にも劣っていた。
卦算師が徐々に減少し、すでに20世紀後半には、五条家は商売へと転向していた。
まだ松本家には及ばないものの、基盤はしっかりしていた。
結局のところ、五条家の家系の歴史は奈良時代にまで遡ることができる。
五条弦太の卦算の才能が優れているのは、彼の先祖が以前から紫禁城で皇族の弟子のために占いをしていたからだった。
外の世界にとって、夢野家は中医学の名門だった。
しかし、実際に夢野家と接触したことのある人だけが知っていることだが、夢野家の歴史はこれらの家系ほど長くなくとも、その実力は恐ろしいほど強かった。
古醫者の傍らには必ず古武者が守護者としていた。
強力な古武者一人で、普通の世俗の大家族を直接一掃することができる。
これが、大家族がみな古武者を探そうとする理由でもあった。
古武者が座していれば、何を恐れることがあろうか?
松本沈舟は古医学の存在を知らなかったので、彼はずっと夢野家は松本家と全く比較にならないと思っていた。
しかし彼は松本夫人から、松本鶴卿の病気は夢野家のあの数人の神医の丹精な治療のおかげだと聞いていた。
これは松本家では秘密でもなんでもなかった。
鶴卿がいる限り、松本家は倒れない。
そのため松本家の人々は皆、夢野家の家族に対して非常に敬意を払っていた。
沈舟はますます勝山子衿が本当に目が利かないと感じ、さらに失望した。
松本家でさえ夢野家と物を争うことはなく、夢野家が必要とするものは全て用意されているべきだった。
夢野家が予約していた希少なチューリップの品種を奪おうとする?
それは自分で直接後路を断つようなものではないか?
夢野家の家族はみな医術を心得ており、全国、さらには世界中の様々な病院に分布している。
夢野家を怒らせたら、今後病気になっても治療してくれる人がいなくなる。
沈舟もこの道理を知っていたからこそ、子衿にこの競売品を譲るよう要求したのだ。
これは彼女への注意と忠告だった。
舞踏会場の招待客たちは、オークションの途中でこのような出来事が起こるとは予想していなかった。
しかも発言したのは沈舟、松本家の嫡流の若様だった。