266 身分暴露、ランキング【3更】

まだどうやってここから脱出しようかと考えていた佐藤家長は、この言葉を聞いて、思わず固まった。「何だって？」

ヴィーナスグループは、現在ローラン家族と一戦を交えることができる唯一の企業だ。

しかし、ヴィーナスグループの活動範囲はずっとO大陸に限られており、ここ一年で徐々に和国へ進出し始め、多くの家族や企業と接触を持つようになった。

そのため、以前の佐藤家長はヴィーナスグループの名前を聞いたことがある程度で、特に注目していなかった。

自分の事業がヴィーナス傘下の企業と取引を始めてから、佐藤家長はようやくヴィーナスグループがO大陸でどれほどの勢力を持っているかを知った。

ここ数年、ヴィーナスグループとローラン家族の名前は頻繁に並んで登場するが、両者が関わる分野は全く異なっている。

ローラン家族は金だけ好きで、銀行業のみを営み、世界の経済の命脈を握っている。

どんな大型取引でも、金銭の移動は必ずローラン銀行を経由する。

ヴィーナスグループは違う。あらゆる産業に少しずつ手を伸ばしており、科学研究技術、衣料品や宝飾品、スキンケアや美容など多岐にわたる。

一方は古くからの世界第一の家族、もう一方は新世代の第一のグループ。両者の協力関係も少なくない。

多くの子会社はヴィーナスグループが買収したものであり、直接ヴィーナスグループを代表するものではない。

オーレンシというスキンケア・美容会社と提携できただけでも、佐藤家長は天から降ってきた幸運だと感じていた。

ヴィーナスグループの幹部と接触できるなんて、想像すらしていなかった。

それも執行長？

冗談じゃない。

ヴィーナスグループはこの一年で多くの事業を和国に移してきたが、本社と主な活動範囲は依然としてO大陸にある。

ヴィーナスグループの執行長は謎に包まれており、誰も「彼」が男性か女性か、老若かを知らない。

O大陸の他の企業の推測によると、ヴィーナスグループには執行長という存在がなく、ローラン家族以外のO大陸の古財閥が連合して設立し、ローラン家族と対抗するためのものだという。

しかし、この説にも根拠はない。結局のところ、ヴィーナスグループとローラン家族の間に絶対的な利益の衝突はないのだから。