「夭夭?」
「起きたわ」勝山子衿はベッドの板を支えながら起き上がった。「服を着替えるから待って」
彼女はベッドから降り、横に畳んである新しい服を取り、洗面所に入って着替えた。
着替えが終わると、ドアを開けに行った。
伊藤雲深はコップに入った水を持ち、彼女に渡した。「温かい薄い塩水だよ」
子衿は受け取り、ゆっくりと一口飲んだ。
雲深は部屋に入り、尋ねた。「手はまだ痛む?」
その言葉を聞いて、子衿は左手を上げ、彼に見せた。「大丈夫、小さな傷だし、もう血も止まってる」
五条輝が持ってきた手錠は質が悪すぎた。どこの製品かも分からない。
彼女は手錠の返しで小さな切り傷をいくつか負ったが、きつく縛られたわけではなかった。
子衿は昨日五条凡人が彼女にくれた霊宝参を思い出し、ベッドの方へ行き、枕の下から箱を取り出した。「これをあげる」
「これは何?」雲深は目を上げ、少し匂いを嗅いだ。「薬?」
「霊宝参よ」子衿は箱を開け、簡潔に説明した。「体の本源を回復できるものよ」
体の本源というのは、非常に広い概念だ。
これは古武界と古医学界での言い方だ。
現代人はこういう言い方はしない。
人の精気神や寿命などは、すべて体の本源に含まれる。
雲深の手が一瞬止まった。
彼は霊宝参について聞いたことがあった。
古武界には専門に栽培している人がいて、全部で三株ある。
他の二株はまだ成熟していないが、凡人が買ってきたこの一株は、ここ数日で成熟したばかりのものだった。
本来、古医学界はこの霊宝参を古武界に送るつもりだったが、凡人に横取りされた。
凡人が霊宝参を買ってきたのは、五条月子の命を延ばすためだけだった。
しかし月子の命格が変わった後、この霊宝参は必要なくなった。
凡人は子衿が命格を変えても体の本源を消耗することを知っていたので、霊宝参を彼女に贈ったのだ。
「お兄さんは必要ないよ」雲深は受け取らず、ゆっくりと彼女の頭を撫でた。「小さな子、いくつかの点では君にかなわないけど、この体は君より丈夫だよ」
少し間を置いて、彼はまた笑った。「君は僕をたくさん助けてくれた。僕が君の傷を見過ごすわけがない。全部食べなさい」
子衿がいなければ、伊藤のご隠居は前回持ちこたえられなかっただろう。
彼が彼女にこれほど優しいのも、彼女が彼に優しくしてくれたからだ。