312 除名、万代家の没落【1更】

こんなにも迅速に釈明するとは、まるで何か汚いものに取り憑かれるのを恐れているかのようだった。

この声明が出されると、一瞬にして「#最年少社長の心の中の白月光#」や「#お金持ちの家庭のドロドロ話、好きな人が自分の兄と結婚#」といったトピックがすべて一瞬で消えてしまった。

ヴィーナスグループの広報部は、どんな芸能事務所やタレントの仕事よりも素早く動き出した。

ネットユーザーたちがまだあの小作文に浸っている間に、釈明文が投下され、みんな呆然としていた。

しかし、彼らが注目したのは万代良輝と万代真奈子という二人ではなく、釈明文の最初の一文だった。

【好きな人がいるの?!ああああ、誰がそんなに幸運なの。】

【うぅ、始まる前に失恋した、お酒買って気を紛らわさなきゃ。】

【上の人、あなた男でしょ?私たちから男を奪わないでよ[崩壊]】

【ヴィーナスグループが出した経歴によると、伊藤社長は去年の年末に帰国したみたいだけど、それまでは海外にいたのかな?】

【もしかしたら王室の王子や王女かも、とにかくこんな神のような男性は私たちが想像できるような存在じゃないわ、解散解散。】

東京で張り込んで写真を撮ろうとする人がいないわけではなく、実際に伊藤雲深と勝山子衿の姿を捉えた人もいた。

しかし雲深にはそれらの写真を消す多くの手段があった。

彼は子衿が自分のせいで世論の矢面に立つことを望んでいなかった。

ヴィーナスグループはこの釈明を出した後、さらに迅速に万代良輝がマーケティングアカウントを買収して記事を出した証拠を公開した。

これで風向きは完全に変わった。

【これだけ?あなたの娘は金貨か宝石なの?誰もが好きだと思ってるの?失礼だけど、本当にゴミね。】

【押し付けて気持ち悪くない?他人の名誉を傷つけて。】

【この万代という姓の二人は当時、貧乏を嫌って金持ちを好んで婚約を破棄したんじゃないかと深く疑ってる。今になって伊藤社長が彼らの手の届かない存在になったから後悔してるんでしょ。】

コメント欄は罵声の嵐だった。

もし万代良輝と真奈子がウェイボーのアカウントを持っていたら、おそらく完全に炎上していただろう。

伊藤羽含はウェイボーを見終わった後、安心したが、同時に感慨深くもあった。