裴戸天志と勝山月咲は知り合って一年になる。彼はこの後輩のことをとても気に入っていた。
真面目で向上心があり、名家の出身だからといって浮ついた態度を取ることもない。
だからいい機会があれば、天志はいつも月咲のために取り計らっていた。
彼は科学研究代表団が和国に来ることを知っていたが、最初は青葉中学に来るとは知らなかった。後になってその情報を得てから、自ら上層部に申し出て、こうして一緒に来ることになったのだ。
実際、中古英語ができるかどうかは重要ではなく、重要なのは彼らを接待する人が必ず月咲であることだった。
そうすれば、月咲の将来の発展機会もより多くなるだろう。
今、天志がそう言うのを聞いて、藤田先生の表情が引き締まり、眉をより深く寄せた。「それでは、裴戸くんは中古英語にとても精通しているということですか?」
彼女はO大陸の歴史を学んでいた時、中古英語も少し勉強したことがあった。
確かにマイナーな書籍の中には、中古英語版しか存在しないものもある。
「精通とは言えません、皮相的な知識だけです」と天志は言った。「この要請が唐突だということは分かっていますが、藤田先生もご存知のはずです。この科学研究代表団を接待することで、多くの知識を学ぶことができるのです」
藤田先生はこの点をよく理解していた。
この科学研究代表団は、O大陸のイラン公学や他のいくつかの高校が共同で結成したもので、教師たちの他に、引率する教授は国際的に非常に高い評価を受けていた。
だからこそ彼女は子衿に接待を任せようとしていたのだ。
天志はこの時さらに口を開いた。「それに私と月咲は親しいので、一緒に過ごすのもやりやすいでしょう」
そう言いながら、彼はバックパックから箱を取り出した。「急な決定で申し訳ありません。これはお詫びの品です。その生徒さんに渡していただけますか」
ここまで話が進むと、藤田先生もどうしようもなく、頷くしかなかった。「分かりました」
研究チームには華僑もいるので、コミュニケーションも取りやすいだろう。
そこで藤田先生はまず事務室に戻り、どう切り出すべきか考えた末、結局、事実をそのまま伝えることにした。
話を聞き終えると、子衿の表情が一瞬止まり、眉を上げた。「中古英語?」