第97章 旦那様、私を信じますか(3)

今回の斎藤延彦に対する態度もそうだ。受け入れているのか拒絶しているのか見えないまま、延彦の手配に従って行動しているように見えるが、実際には心の中で物事を何度も繰り返し考え抜いている。今の受け入れは、彼女が受け入れる準備ができたからだ。そうでなければ、彼女は間違いなくもう一度逃げ出し、延彦にはどこにも見つけられないようにするだろう!

どうやら兄は自分の運を天に任せるしかないようだ。この女性は早川可奈よりもずっと手ごわい。

一方、若菜は心に傷を抱えているからこそ、拒絶するのだ。

若菜は表面上、いつも強気で冷たく近寄りがたい様子を見せているが、実際には心の奥底はとても柔らかい。本気で彼女に向き合えば、彼女は簡単に心を動かされるのだ!

この二人の女性は、外見と性格が正反対のタイプだ。だからこそ彼女たちが親友になれたのも不思議ではない——お互いの外見を見ることで、自分の内面を見ているようなものだから!

「彼女には七年の過去がある。だから私は焦らない。彼女が確信を持てるよう、時間をあげるつもりだ」知性に満ちたこの女性を見つめながら、斎藤遥は自信を持って答えた。

橘美織はさらりと言った。「若菜は現実的な人に見えるけど、実は心の中にたくさんの夢を持っているの。彼女はいつも現実に屈服することができないの。例えば、職場にグレーゾーンがあることを認めていても、彼女自身は常に白い部分にだけ立っている。例えば、ほとんどの恋愛関係には不誠実さがあり得ることを認めていても、自分のこととなると、それを受け入れられない!こういう面では、彼女は実はとても純粋なの!」

飛雨の軽やかな口調は、まるで天気の話をしているようだった。遥の腕の中にいる若菜を見つめる彼女の目の奥には、深い思いやりが溢れていた。

「女性が強くなり世知辛くなるのは、男性の責任放棄だと言う人もいる。この世界が本来美しくなくても、彼女の夢と純真さは守ってみせる」飛雨の視線を追いながら、遥は腕の中の女性をさらに強く抱きしめた——彼女は今まさに、彼の腕から頭を出して飛雨と話そうともがいているところだった。