第119章 メール事件(6)

執事が食事の準備ができたと告げに来た時、斎藤空也と市長の娘である彼の恋人、白石晴音がようやく姿を現した。

彼らが入ってきたすぐ後に、斉藤琴乃も着替えを済ませて階下に降りてきた。

「みんな帰ってきたのね!」

「あら、小さな赤ちゃんもいるわ?お兄ちゃんの宝物かしら?」琴乃はジーンズにチェック柄の半袖シャツを着て、腰まで届く長い髪を下ろし、若々しく輝いていた。天雄を見ると、大声で叫び、喜びを隠せない様子だった。

「こんにちは、小さな赤ちゃん。私はあなたの叔母さんよ!叔母さんに抱っこさせてくれる?」琴乃は天雄の側にしゃがみ込み、期待に満ちた表情を浮かべた!

「おじいちゃん、天雄は重いから、抱っこしてて疲れたでしょ!少し休んでね、きれいなおばさんに抱っこしてもらうよ!」斎藤蓮の胸にもたれかかっていた天雄が甘えた声で言うと、まるで502接着剤で固められたような蓮の顔に、たくさんのひび割れが生じ、もう元には戻らなかった。

「いいよいいよ、この孫は手に入れた価値があるな!さあ、きれいな叔母さんのところへ行きなさい!」そう言いながら、小さな天雄を琴乃の腕に渡した。

飛雨と佐藤若菜はこの子の性格をよく知っていたので、彼がこのように話すのを聞いても、特に驚かなかった!そして斎藤延彦は、この息子が父親が欲しいがために、自分の母親さえも安売りしてしまうことを知っていたので、この言葉を聞いても表情一つ変えなかった。

葉山淑恵、斎藤遥、空也、晴音、琴乃、そして部屋中の使用人たちだけが、目を見開いて、このぽっちゃりした小さな子が、その身長に不釣り合いなおべっか使いの言葉を発するのを見ていた。しかも、一言で二人のおべっかを使うとは、その腕前は相当なものだった!

「天雄ちゃん、あなたは本当にすごいわね!おじいちゃんはめったに笑わないのに、今日はとても楽しそうに笑ってるわよ!」琴乃は少し苦労しながら小さな子を抱き上げ、ダイニングテーブルの方へ歩きながら彼をあやした。