第190章

取引終了後、「アンジェ」の株価暴落に関するニュースが飛び交い始めた。証券取引所の個人投資家たちは、株を売り切れなかった者たちが大勢ホールに集まり、なかなか帰ろうとしなかった。

一時は、不満を漏らす者あり、悲痛に涙を流す者あり、明日また売ろうと淡い期待を抱く者あり、安くなった今こそ買い時だと考える者もいた！

とにかく、この状況は全ての株式アナリストを困惑させ、今後の動向も全く予測不能な状態だった！

翌日。

「『アンジェ』が破産寸前の斎藤氏を買収、その重荷で会社が倒れる」というニュースが、各経済メディアで頻繁に取り上げられるようになった。

「山田社長、このお金は使えません！」秘書の鈴木は、山田隼真が地下金融から借りたお金を銀行の融資返済に回さず、再び株式市場に投入するのを見て、焦りを隠せなかった。

隼真は顔を歪めて怒鳴った。「最大の資金はすでに引き上げられた。株主以外は今や個人投資家ばかりだ。このお金を投入して株価を引き上げれば、まだ挽回の可能性がある！」

「山田社長？」会社の時価総額が昨日の売買で一気に40％も縮小したのを見て、鈴木はすでに足がガクガクしていた。

「私の言う通りにしろ！」隼真はもはやどんな意見も聞く耳を持たず、逆転だけを考えていた。

午前9時30分、株式市場が定刻通りに開場すると、昨日売り切れなかった個人投資家たちは早朝から証券取引所に詰めかけ、開場と同時に一斉に手持ちの株を始値で投げ売りした。

午前11時になり、隼真はタイミングを見計らって資金を投入したが、わずか1分も経たないうちに、別の資金が株価が上昇した瞬間を狙って素早く市場から撤退した。

これで鈴木はもう何も言わなくなり、ただ呆然とコンピューターの画面を見つめ、長い間、目玉を動かすこともできなかった！

一週間後。

一週間続いた連続ストップ安の末、ついに証券会社は株価の異常な変動を理由に「アンジェ」株の上場取引を停止した！

「山田社長、これからどうすればいいでしょうか？」鈴木は、この数日で自分で髪の毛をかなり抜いてしまっていた。

「まだ誰がやったのか分からないのか？」隼真はかすれた声で尋ねた。