第204章 本当に手を出さない(1)

「この完成図はダメね。最終的な完成品は半完成品と手描きの線を組み合わせたものにしないと。想像の余地と、デザイン性の両方が必要よ!」

展示ホールに入ると、明石葵のあの馴染みのある声がはっきりと耳に届いた。

斎藤遥は顔を曇らせ、大股で展示ホールへと向かった。

「斎藤部長!」

「斎藤?」

渡辺新一とマーケティング部長は緊張した面持ちで、葵はつなぎの作業着を着て、資材の山の中にしゃがみ込んでいた。

遥が来るのを見ると、急いで立ち上がり、形になりつつある展示台を指さして言った。「遥、半完成品を展示するというアイデアはとても素晴らしいわ。見て、照明と、半分実在して半分は想像上の製品展示が、人々の想像力を一気に広げるの!ユリの花の展示台デザインも、フラワーレディのファッションショーのテーマにぴったり合ってる!きっとこれらの半完成品は、完成品よりも多くの予約が入るわよ!」

話している間、長年の仕事で培われた息の合い方と、二人の間の親密で遠慮のない関係が明らかだった。

遥は淡々と頷いた。「いいアイデアだな」

そう言って、新一とマーケティング部長を見上げ、冷たい口調で言った。「これがどういうことか、説明してくれないか?」

「斎藤部長、別の場所でお話しましょうか?」新一は恐る恐る遥に言った。予想していたような怒りが見られないことに、少し安心した様子だった。

遥は軽く彼の顔を見ただけで、何も言わなかったが、それだけで新一は怖くて頭を下げた。

「撤去しろ!この15点も展示する必要はない」遥の冷たい決断に、その場にいた全員が固まり、どう反応すべきか分からなくなった。

「私が自分でやらなければならないのか?」遥の声が沈み、怒らなくても威厳があり、新一とマーケティング部長は反射的に展示台の前に立ちはだかった。