第278章 今度は彼が主導権を握る(4)

斎藤遥は彼女の苦しむ様子を絶えず慰め、妊娠してからずっとこのような日々を過ごしていることを思うと、胸が痛んだ。

しかし、一晩中彼女に振り回されて疲れ果て、彼女が眠りについた後、彼も彼女を軽く抱きしめたまま深い眠りに落ちた。

朝は斎藤が先に起きた。眠っていても眉をひそめている佐藤若菜の姿を見て、心の痛みを押し殺しながら、軽く彼女の頬を叩いた。「若菜、起きる時間だよ!」

「うん、何時?」若菜はまだ目を開けず、枕の下に手を伸ばして携帯を探った。

「7時だよ、9時の飛行機に乗らないと」遥は携帯を取って彼女の手に渡した。

若菜はぼんやりと携帯を受け取り、画面を見た:7時10分。

やっと目をこすりながら、遥の助けを借りて起き上がった。「ごめんね、昨日はあなたをよく眠らせなかったでしょう」

「ずっとこんな感じなの?」遥は彼女を自分の胸に寄りかからせ、静かに尋ねた。

「そうでもないよ、先月から始まったの。お腹が大きすぎて、どう寝ても引っ張られて不快なの」若菜は丸いお腹を見つめ、諦めた表情を浮かべた。

「でも、大丈夫!あと3ヶ月頑張れば終わりだから!頑張れ頑張れ!」若菜は大きく伸びをして、すぐに目が覚めた状態になった。

「うん、洗顔して着替えよう。空港まで送るよ」遥の瞳が少し沈み、静かに言った。

天河空港。

彼女は飛雨に見送りを頼まなかった!元々の計画は一人で来て一人で帰ること!

でも朝、遥の腕の中で目覚めてから、彼女は彼の力強い支えと、彼の抱擁の中にいる時の安心感に依存していることに気づいた!

だから、彼が送ると言った時、彼女は嬉しそうに笑った!初恋の少女のように、朝から気分が最高だった!

「随分と嬉しそうだね!」空港で、遥は朝から不思議なほど機嫌の良い彼女を見て、愛情を込めて彼女の髪を撫で、軽く笑いながら言った。

「あなたが送ってくれるからよ!来る時も帰る時も、いつも一人だと思ってたから!」若菜は率直に彼を見つめ、穏やかに微笑んだ。

「バカだな、もちろん送るよ。こっちが忙しくない時は、会いに行くからね。信じてるよ、この4年間、君はどんどん良くなっていくって!」遥は彼女をじっと見つめ、その言葉には彼女への励まし、支援、そして誇りが込められていた。