「本当?触ってみるわ!」佐藤若菜はベッドに手をついて起き上がり、彼の胸に手を伸ばした。確かに少し冷たい感じがする。
斎藤遥は彼女の呆けたような緊張した様子を見て、優しく微笑んだ。
「頭がおかしくなったの?こんな時に笑ってるなんて!まずは毛布に包まって起きて、シーツは汗でびっしょりよ!」若菜は水盆を脇に寄せ、毛布で彼の全身を包み、ソファに座らせた。それから清潔なシーツを取り、素早くベッドに敷いた。
その姿は、まるで気の利いた若妻のようだった。
「はい、戻ってきて横になって」若菜は体を起こし、彼をベッドに戻そうと近づいた。
すると遥は自然な流れで彼女を抱き寄せ、彼女がまだ昼間のスーツを着ていることに気づいて眉をひそめた。「ずっと病院にいたの?」
「ううん、直哉を家に連れて帰って食事をさせてから来たの」若菜は静かに答えた。
「着替えてないじゃないか。脱いだら?見ているだけで疲れそうだ」遥は低い声で言った。
「いいわ、少しだけあなたと一緒に寝るから。あなたが温まったら起きるわ。もう4時近いし、朝は帰って直哉を幼稚園に送らないといけないの」若菜は彼を見つめ、少し体を離した。「具合が悪い?」
「うん、体に擦れると痛い」遥は眉をひそめて言った。
「わかったわ、脱ぐわ」若菜はそっとベッドから降り、まず洗面所で温水で手を温め、それから上着を脱いでベッドに戻った。
「今は少しましになった?」温かい手を彼の胸に優しく置き、小さな声で尋ねた。
「うん、気持ちいい」遥は彼女をしっかりと抱き寄せ、下着姿の彼女の体を自分の体に密着させ、心地よく長い息を吐いた。彼女の頬に顔を寄せ、本当にすぐに眠りについた。
彼の腕の中で抱かれた彼女は、徐々に緊張した気持ちをほぐし、彼の規則正しい呼吸を聞きながら、間もなく彼の腕の中で深く眠りについた。
朝の7時、看護師が回診に来たとき、この高級VIP病室のベッドに二人も横たわっているのを見た。薄い毛布は、ベッドの上で絡み合う二つの体をはっきりと浮かび上がらせ、隣のソファに脱ぎ捨てられた服を見て、看護師は一瞬にして顔を真っ赤にした。
「しーっ!」遥はその看護師が立ち往生しているのを見て、若菜を起こさないように小声で言った。「すみませんが、ソファの上の電話を取ってもらえますか」