第384章 打ちのめされてないよね(1)

「これは私がよく考えないと!尚誠は命を削って早めに全ての実験を完成させたんだ。私も本当は投資を引き延ばして、彼が希望を持って頑張れるようにしたかった!でも彼のあの必死な様子を見ると、引き延ばせなかったんだ!」斎藤遥は佐藤若菜を見つめながら、小さな声で言った。

「わかりました。会社に行きましょう」若菜は軽く頷いた。

斎藤氏オフィスビル。

「斎藤部長、資金調達は当初の計画通りに進めますか?それとも否定的なニュースを流して株価を安定させますか?」鈴木瑛子が顔を上げて尋ねた。

「遥さん、尚誠さんから今電話があって、ニュースを見たと言っていました。あなたと話したいそうです」若菜は証券部に来て、電話を遥に渡した。

遥は電話を受け取り、椅子を引き寄せて彼女を座らせ、自分はデスクに腰掛けた。「もしもし、斎藤です」

「ええ、この間いろいろあったんです」

「そうです、取引停止前にすでに資金が入り始めていました。量は多くありませんが、継続的でした」

「今から会社に来るんですか?わかりました、運転手を迎えに行かせます」

遥は電話を若菜に返した。「尚誠のお父さんはビジネスマンなの?」

若菜は彼を見て頷いた。「どうしてそんなことを?」

「彼のビジネスセンスがいいね。最近のネガティブニュースの流れを見て、再開直前に株価上昇予測のニュースを出した。何か異常を感じ取ったんだろう」遥は軽く笑いながら言った。

「瑛子さん、しばらく様子を見ましょう」そう言って、若菜の方を向いた。「もしかしたら、尚誠が予想以上の良い結果をもたらしてくれるかもしれないね」

「遥、今日のニュースはおかしいぞ!資金状況はどうだ?十分あれば、奴の策にはまったふりをして、あの野郎を完全に罠にかけることもできるぞ」ニュースを見ながら、田中大樹から電話がかかってきた。

「うん、今ちょうど対策を考えているところだ」遥は軽く笑いながら答えた。

「空也のやつが急いで100店舗を手放そうとしている。値段はいいから全部引き取ったよ。ただ資金面では、彼を引き延ばすつもりだ」市場情報に関して、大樹の感度は一流だった。