第159章 お正月

空になった果物皿を見て、真理子はふと思いついた:なんて馬鹿なんだろう、もう一つ梨を取って小さく切って大伯に食べてもらえば、半分か丸ごとかなんて誰にも分からないじゃない?

真理子が果物皿を持って階下に降りると、田原青山も戻ってきて、人を探して、やっと大きな木の桶を買うことができたと言った。

大きな木の桶にまず水を満たして浸しておき、真理子は薬材を調合して、台所の大鍋で煎じ始めた。田原おばあさんが目を覚ましたら、心地よい香りのする薬湯に浸かってもらうためだ。

青山は真理子が渡した梨の薄切りを食べながら、とても美味しいと褒め、両親にも分けたいと思った。田原家の長老は笑いながら言った。「お前が食べなさい。これはお嬢ちゃんがお前のために残しておいたものだよ。彼女は故郷から二つだけ持ってきて、私と母さんに一つ、お前たち二人に一つだ」

青山はとても感動した。「この子は、こんな大きな梨を、私にこんなにたくさん残してくれたんだね」

田原家の長老は息子の前の果物皿を見て、感慨深げに言った。「子供は素朴で心が優しい、貴重だよ!青山、彼女がここに残ってお前の娘になりたいと思ってくれたら、私たちの家は大当たりだ!」

「お父さん、安心してください。私たちには父娘の縁があります。子供は私の言うことを聞いてくれますよ!」

三人が昼食を終えると、田原家の長老は家の従業員全員に休暇を与え、家族と一緒に団らんして賑やかに祝日を過ごすよう帰らせた。

青山は真理子に告げた。「黒田おばあさんから言われたんだ。今年は私たちの家の大晦日の食事は彼らが全部用意してくれて、午後に届けてくれるそうだ。だから、私たちは何もする必要がないんだよ」

「黒田邸から食事を運んでくるなら、速い車でも30分はかかるでしょう?自分たちで作った方がいいと思うわ。自分の好みや気持ちに合わせて、新鮮で熱々のものが食べられるし、何より大事なのは、お正月の雰囲気よ」と真理子は言った。実は彼女は北部の料理が自分の口に合わないのではないかと心配していた。せっかくのお正月なのに、大晦日の食事が美味しくないなんて嫌だった。