第183章 それぞれの家へ

佐藤国松と安部鳳英が入ってきたとき、田原雅子は泣くのも咳をするのもやめ、吉田暁文の胸に縮こまって、一言も発しなかった。

公社民兵営の営長が自ら出向き、佐藤国松夫妻を連れてくるだけでなく、佐藤二さん夫妻も一緒に連れてきた。二家族は同じ敷地内に住んでおり、お互いの生活状況をよく知っていたため、両方から話を聞く必要があった。さらに、佐藤二さんの娘である佐藤素子が不良グループに加わり、道端での強盗計画に関与していたため、本来なら公社に連行されるところだったが、佐藤二さんが素子を気絶するほど殴ったため、一時的に許されていた。

数人が低い椅子に座ると、まず佐藤国松夫妻から尋問が始まった。まるで裁判のようなやり方で、厳めしい顔つきの公安員二人が質問を始めると、国松と鳳英は恐れて頭を上げることもできず、聞かれたことにだけ答えた。何年何月何日に莞都病院に行ったのか、どのように子供を産んだのか、どうやって赤ん坊を取り違えて連れ帰ったのかなど、すべて病院の調査結果と一致していた。さらに田原青雲と吉田暁文夫妻も同席して対質し、すべて間違いないことが確認された。子育てについての質問になると、村民から虐待の報告があったことが言及され、国松と鳳英は言い逃れをしようとしたが、威圧的な雰囲気と、外で証言を提供する村民たちの助けもあり、夫婦は真実を話さざるを得なくなった。彼らは真理子を幼い頃から虐待し、迫害していたことを認め、真理子を破滅させようとしていたことを白状した。その目的は、真理子が実の両親のもとに戻り、自分たちの子供が農村に戻って苦しい生活を送ることを避けるためだった。

外にいた村民たちは、ほとんどが真理子が虐待されていることを知っていたが、国松と鳳英が自ら口にするのを聞いて、怒りを抑えられなかった。彼らは大声で罵り、村からこんな畜生以下の人間が出たなんて、親の資格があるのかと叫んだ。土の塊や石を拾って投げ込み、国松夫妻に当てる者もいた。佐藤書記は立ち上がり、民兵と共に秩序を維持した。

しかし、偽物の佐藤真理子については、誰も触れなかった。国松夫妻も何も言わなかった。