第327章 何の徳何の能(二合一)

夜も更け、静寂に包まれた時間。吉田暁文と吉田暁蕾はきっともう眠りについているだろう。田原雅子はまだ机に向かい、小さな卓上ランプの明かりを頼りに安部鳳英への返信を書いていた。

雅子も暁文の言うとおり、鳳英を無視したいと思っていた。しかし鳳英は彼女の学校の住所を知っており、手紙や電報を送り続けてきた。電報は本人が直接署名する必要があり、一度は配達員がクラスまで探しに来たことがあった。それは非常に評判が悪く、クラスメイトたちは彼女を指さして様々な噂をし、担任の先生まで巻き込まれて、一体何が起きているのかと職員室に呼び出されたこともあった。

雅子は仕方なく、田舎の親戚だと説明するしかなかった。

そのせいで、田舎に親戚がいるというだけで彼女を見下すクラスメイトもいて、副級長としての彼女の権威に挑戦し始める者さえいた。このままではいけないと雅子は感じ、鳳英の愚かな行動を止めなければならないと思った。

鳳英を止めるのは難しくない。彼女の望み通り、お金を渡せばいいのだ!

雅子は毎月三百円を鳳英に送ることに決めた。三百円は雅子にとって大した金額ではないが、田舎では一家が一ヶ月を快適に過ごすのに十分な額だった。そして手紙も書いて、鳳英に黙っていてほしい、大人しくしてほしい、自分に余計な問題を起こさないでほしいと伝えるつもりだった。もし彼女の愚かさのせいで自分の将来が台無しになれば、本当に二度と関わらないつもりだった。

三百円なら送金手続きはしないことにした。あまり多くの人に鳳英に手紙やお金を送っていることを知られたくなかった。暁文もそんなことを好まないだろう。だから直接封筒に入れて、明日郵便局に行って書留で送ることにした。そうすれば普通は紛失しない。

封筒を封をして鞄に入れると、雅子はようやく安心して床に就いた。

翌日の朝8時、暁文はパンダのような目の下のクマを作って外出した。まず銀行に立ち寄り、一万円を引き出して戻ってきてリビングのテーブルに置いた。それから吉田邸へ行って玄太を迎えに行き、父娘で病院へ向かい小林真実と合流して、一緒に車で田原邸へ向かった。

田原邸に着いたのは10時過ぎだった。今回は門で警備をしていた警備員が暁文を認識していたようで、おそらく指示を受けていたのだろう、彼らを待たせて取り次ぐこともなく、直接中に通してくれた。