第22章 三井家の継承者は注射が怖い

田口優里は思わず想像した。この男性がもし普通の人のように振る舞えたら、どれほど優雅で格別に美しいだろうか。

今この瞬間でさえ、彼が車椅子に座り、骨と皮だけになっているのに、本来なら恐ろしい容貌のはずだ。

しかし、彼の完璧すぎる目元と眉が、その醜さを押さえ込んでいた。

田口優里は自分が顔フェチであることを認めていた。学生時代、彼女は一目で野井北尾を好きになった。

その後、接触して理解が深まるにつれ、好きという感情は愛に変わっていった。

しかし、この感情が始まったのは確かに容姿からだった。

目の前のこの顔を見ていると、たとえ彼が先ほど言った言葉がとても失礼だったとしても、優里は自分が彼を許せるような気がした。

「病院にはVIP病室があるし、高級幹部用の療養病室もあります...」