田口優里は受け取って、ありがとうと言った。
野井北尾の視線は彼女が持っているバッグに落ちた。「それは何?」
田口優里は隠すつもりはなかった。「三井さんからのお礼の品です。」
野井北尾は眉をひそめた。「なぜ彼からものを受け取るんだ?何をくれたんだ?」
田口優里はまだ中身を見ていなかったが、野井北尾の口調を聞いて、彼女も眉をひそめた。「なぜ受け取ってはいけないの?」
「医者が患者から贈り物を受け取っていいのか?」
「原則的には駄目ですが、三井さんの場合は特別な診療で...」
「三井和仁が贈るものがどれだけ高価か知っているのか?」野井北尾は彼女の言葉を遮り、直接バッグを開けた。「見てみろ。」
田口優里は下を向いて見た。バッグの中には、ハンドバッグが入っていた。
小さくて可愛らしく、洗練されていた。