午後、下村青葉は東京に戻った。
墨都から東京までは遠くなく、車で行けば、わずか2時間ちょっとの道のりだった。
東京に戻ると、下村青葉はすぐに自分の母親を訪ねた。
浅野梅子は40代半ばで、見た目は優雅で気品があった。
東京では、浅野家は最上流の家柄とは言えなかった。
しかし浅野家と松下家は親しく、松下家の光を浴びることで、ようやくピラミッドの頂点に片足を踏み入れることができたのだった。
下村青葉が事情を話すと、浅野梅子は年長者だけあって、そこまで驚かなかった。「どれくらい似ているの?それに、世の中には似た人なんていくらでもいるわ。何をそんなに驚いているの?」
下村青葉は言った。「松下叔父さんの机にそんな写真が飾られていなかったら、私もそこまで驚かなかったわ」
「あなた何をしようとしているの?松下牧野はそう簡単に騙せる人じゃないわよ」浅野梅子は彼女を睨みつけた。「言っておくけど、余計なことはしないで!」