第121章 命知らずか

野井北尾は気力を振り絞って倒れないようにしていた。

もし彼が事故で怪我をしていなければ、この10人のボディガードを倒すのは簡単だっただろう。

結局、彼が軍隊で訓練していた時、その武術の腕前は実戦で鍛え上げられたものだった。

しかし彼は怪我をしており、上半身の動きが制限され、左手はほとんど使えなかった。

戦闘能力は半分とは言わないまでも、少なくとも3分の1は減っていた。

残るは最後の一人。

野井北尾は心の中でよく分かっていた。三井和仁という男は、物事を中途半端にしない人間だ。

彼は最初から自分を上階に行かせるつもりはなかった。

この最後の一人は、間違いなくこの10人の中で最も手強い相手だ。

野井北尾は何とか立っていられるよう自分を奮い立たせ、口の中の血の味で意識を保っていた。