それに連座して、河井孝志も巻き込まれ、美色に目がくらんで、植物状態の患者を治療できると妄想したと言われていた。
しかも、ベッドで5、6年も昏睡状態にある植物人間だ。
田口優里が狂ったのに、河井孝志までも彼女に付き合って狂ってしまった。
人々が何を言おうと、田口優里は静かに自分のことをしていた。
河井孝志が外来診療をしているとき、彼女はついて行って診察を手伝った。
外来がないときは、病棟にいて、カルテを書いたり、資料を調べたりしていた。
東京病院は名が知れており、患者も多い。
河井孝志の外来は患者数が少なくなく、多くの人が評判を聞いてやってくる。
結局、国民の心の中では、東京は政治・経済・文化の中心であり、東京病院は当然最も優れた場所だと思われている。
田口優里はそのため、多くの難病や珍しい症例を見ることができた。