第296章 あなたと確認したいことがある

二人は病院の隣にあるカフェで待ち合わせた。

田村若晴が先に着いて、野井北尾が入ってくるのを見ると、手を上げた。「こっちよ。」

男は彼女の方へ歩いてきた。

田村若晴は彼の広い肩と細い腰、長い脚で歩いてくる姿を見て、思わず感心した。野井北尾にこんなに多くの女性が惹かれるのも無理はない。

家柄は言うまでもなく、この顔立ちとスタイルなら、どれだけの女性が自分から近づいてくるだろうか。

彼女は思わず、先日出会った男性のことを思い出した。

野井北尾の冷たさとは違って、あの男性は禁欲的な雰囲気を漂わせていた。

どう言えばいいのだろう、清廉で高貴な学者のような、上品で禁欲的で、シャツのボタンを常に一番上まできちんと留めているような人だった。

「晴美。」

野井北尾が近づいて挨拶した。

田村若晴は我に返り、微笑んだ。「どうぞ座って。」

「どうしたの?」野井北尾は座ってから尋ねた。「優里ちゃんに何かあったの?」

彼は道中ずっと心配で、田口優里に何か起きたのではないかと恐れていた。

心配のあまり、田口優里に電話をかけて何をしているか尋ねたほどだった。

田口優里は仕事中で、多くを語らずに電話を切った。

しかし野井北尾は、田村若晴が自分を呼び出したのは、おそらく田口優里に関することだろうと思っていた。

案の定、田村若晴は口を開いた。「そう、優里ちゃんのことよ。」

野井北尾はすぐに焦った。「優里ちゃんにどうしたの?」

「慌てないで。」田村若晴は言った。「いいことよ。たぶん...いいことだと思うけど、どうやって優里ちゃんに伝えればいいか分からなくて、あなたを呼んだの。」

二人はカフェの一番奥の席に座っていた。

今日は平日で、カフェには人があまりいなかった。

周りの席はほとんど空いていた。

田村若晴が何を言っても、他人に聞かれる心配はなかった。

野井北尾は尋ねた。「いいこと?どんないいこと?どういう意味で...優里ちゃんにどう伝えればいいか分からないって?」

田村若晴は黙ったまま、バッグから親子鑑定の結果を取り出し、野井北尾の前に直接差し出した。

野井北尾は表紙を見て、信じられないという様子で口を開いた。「どういうこと?優里ちゃんと...松下牧野が?」