第354章 冬の温もり

「もちろん必要だよ」松下牧野は言った。「私の孫は普通の子供と同じじゃないのか?他の子が持っているものは彼も持つべきだし、他の子が持っていないものも、彼は持つべきだ!」

田口優里は言った。「必ずしも男の孫とは限らないけど...」

「女の孫ならもっといいね」松下牧野は笑いながら言った。「全ての遊具をピンク色に塗り替えさせよう!」

メリーゴーラウンドがピンク色なら良いけど、海賊船やジェットコースターが...。

その光景を想像して、田口優里は少し言葉を失った。

野井北尾は目を輝かせた。「それはいいね!」

田口優里は急いで言った。「それはさておき。今日、遊園地に行くの?」

松下牧野は言った。「私たち二人で行くよ。北尾は会社に行かなきゃならない」

野井北尾:……

違う、そんなことない。

しかし松下牧野は彼に一瞥をくれた。

野井北尾も、松下牧野が田口優里と二人きりで過ごしたいのだと理解した。

野井北尾も仕方なく言った。「そうだ、会社に急用ができたから、行って処理してくる。終わったらすぐに二人を探しに行くよ」

彼も松下牧野に視線を送った。その意味は時間が少ないから、急いでくれということだった。

田口優里は二人の視線のやり取りに気づかず、ただ松下牧野が行きたいなら行こうと思った。

食事の後、松下牧野は自ら運転して、田口優里を乗せて遊園地へ向かった。

墨都最大の遊園地は、地元の遊園地ではあるが、国際的なトレンドに追随し、様々な施設が非常に高級感があった。

ここ数年でますます発展し、少なくとも田口優里の記憶の中の姿とは、すっかり違うものになっていた。

松下牧野と田口優里はゆっくりと遊園地を散歩した。

松下牧野は確かに遊園地を買収していた。

オーナーはもともと売るつもりはなかった。

冗談じゃない、これは墨都最大の遊園地で、毎年かなりの利益を上げているのだ。

しかし松下牧野が提示した金額が多く、他のプロジェクトでの協力も約束した。

そのオーナーはようやく売ることに同意した。

しかし今日は元旦の翌日で、休日だったため、多くの親が子供を連れて遊びに来ていた。