これは南方料理のレストランで、評判がとても良く、食事時間になると、いつも満席だ。
田村若晴は約束の時間通りに来ると、岡田羽一がすでに個室で座っているのを見つけた。
「すみません」彼女は言った。「長く待ちましたか?」
そうでなければ、この場所で個室を確保するのは難しい、事前予約しない限り。
しかし岡田羽一は事前にレストランを予約するようなタイプには見えなかった。
「私も今来たところだ」岡田羽一は立ち上がって彼女のために椅子を引いた。「どうぞ」
彼の気配りと紳士的な態度に、田村若晴は思わず驚いた。
彼女の主観的な認識では、研究者はみな堅苦しくて無愛想だというイメージだった。
二人は向かい合って座った。
岡田羽一は手を伸ばして彼女に水を注いだ。「時間が限られていて、午後はまだ仕事があるから、次回はあなたの好きな食事に連れて行くよ」
田村若晴は彼を見て、率直に言うことにした。「さっきあなたが失礼だと言ったけど、私も失礼な質問をしてもいいですか?」
岡田羽一は微笑んだ。「もちろん、どうぞ」
田村若晴は遠慮せずに直接聞いた。「あなたはよく女の子を食事に誘うんですか...いや、この質問はなしで、あなたは以前...何回恋愛したことがありますか?」
言わざるを得ないが、岡田羽一の彼女に対する仕草や言葉遣いは、とても紳士的で、以前彼女を追いかけていた浮気者として有名な男性を少し思わせた。
その男性は浮気者で悪名高かったが、女性に対してはとても優しかった。
ただ誠実さに欠けていた。
岡田羽一のこの姿は、田村若晴の彼に対する固定観念を打ち破った。
実際、彼に何回恋愛したことがあるかを聞くのは、確かに少し失礼だった。
彼女はさらに言った。「この質問は実はとてもプライベートなことですね、答えたくなければ...」
「プライベートなことじゃない」岡田羽一は彼女の言葉を遮った。「あなたが知りたいなら、教えるよ」
ほら、この言葉もとても魅力的だ。
田村若晴はこれほど厚かましい人間なのに、耳元が少し熱くなるのを感じた。
彼女は今や岡田羽一が恋愛のベテランだと確信した。
甘い言葉がすらすらと出てくるのだから。
しかし、岡田羽一は言った。「私は以前海外にいて、勉強や仕事で、ほとんどすべてのエネルギーを実験に費やしていた」
田村若晴は彼を見つめた。