田口優里は顎を支えて彼女を見つめた。「幸せかどうか言ってみなさいよ」
「まあまあかな」
「何がまあまあよ」田口優里は手を伸ばして彼女を指さした。「口角が天まで上がってるじゃない」
田村若晴は慌てて自分の口に触れ、田口優里を睨みつけた。「そんなに大げさじゃないわよ!」
口角は天まで上がっていなかったが、田村若晴の幸せは確かに顔に表れていた。
彼女は輝くような表情で、喜びに満ち、全身から活気と幸福感が溢れていた。
田口優里は彼女をよく知っていたので、彼女がこのような様子を見せると、自然と彼女のために喜んだ。
二人が話している最中、岡田羽一からビデオ通話の招待が来た。
田村若晴は出たくなかったが、田口優里が傍らで「出なさいよ、ちょうど岡田教授に新年の挨拶ができるわ」と言った。
田村若晴は仕方なく応答した。
彼女は岡田羽一が驚くようなことを言い出し、場違いな発言で田口優里の心の中での彼の偉大なイメージを壊すのではないかと心配していた。
急いで先に口を開いた。「私は優里ちゃんのところにいるの、優里ちゃんがあなたに新年の挨拶をしたいって」
岡田羽一は笑いながら言った。「いいね、僕も優里ちゃんに新年の挨拶をしたいよ」
フロントカメラの画面でさえ、彼のルックスは抜群だった。
田村若晴は少し携帯をずらした。
岡田羽一は田口優里を見た。
田口優里はあまり肉がついていなかったが、祖父が特別な薬膳料理を作ってくれたおかげで、顔色は良く、若くて美しく見え、まるで母親になった人には見えなかった。
「優里」岡田羽一が先に口を開いた。「新年おめでとう!」
「新年おめでとう!」
「何を話してたの?」
「あなたと甘子のことよ。甘子が言ってたわ、あなたと一緒にいると、とても幸せだって」
「本当に?彼女がそう言ったの?」
田村若晴はそれを聞くと、慌てて田口優里を押しのけ、カメラを見つめて言った。「私はそんなこと言ってないわ!」
岡田羽一は彼女に向かって笑った。「幸せじゃないの?」
彼がそのように笑うのを見ると、田村若晴は足がふらついた。
彼女は急いで言った。「もういいから切るわよ!」
そう言うとビデオ通話を切った。
田口優里は言った。「どうしてそんなに早く切ったの?」
「私たち二人の会話なのに、彼が割り込んでくるなんて」