第453章 愚かな行為

野井北尾は松下牧野をソファーに座らせた。

彼はもう声を出して泣くこともできなくなっていた。

以前の田口優里のように、ただ無言で涙を流すだけだった。

そして、目は虚ろで、魂が抜けたようだった。

お爺さんも涙を流し、一言も発することができなかった。

家族全員が苦しみの影に包まれていた。

家政婦の登場が、この静けさを破った。

野井純奈が目を覚まし、小さな子は空腹で、ぐずり始めていた。

ただ、泣いてはいなかった。

野井北尾はもう心配で仕方がなかった。

田口優里のことも、お爺さんのことも心配だった。

松下牧野があんなに苦しんでいるのを見て、彼も辛かった。

今、子供までぐずっていて、子供のことも心配だった。

野井北尾は急いで子供を受け取り、田口優里の側に行った。「優里ちゃん……」

田口優里は赤ちゃんを抱き、少し横に座り、背を向けて、野井純奈に授乳し始めた。

小さな子はすぐに大きな口で飲み始めた。

飲みながら、小さな足をバタバタさせていた。

とても満足そうだった。

まるで世の中の苦しみを知らないかのようだった。

子供をあやして落ち着かせると、野井北尾はすでにお爺さんを部屋に送り届けていた。

この事件の経緯を、彼はありのままにお爺さんに話した。

お爺さんの目は沈んでいた。「君は優里の面倒を見てあげなさい。私はしばらく一人でいたい。」

「お爺さん、どうか悲しみに暮れないでください。」野井北尾は言った。「お母さんはもういないけど、優里ちゃんはまだここにいます。あなたがこんな状態だと、優里ちゃんも耐えられなくなります。」

お爺さんは手を振った。「行きなさい。」

野井北尾は無言でため息をつき、部屋を出た。

松下牧野はまだソファーに横たわったまま、動かなかった。

彼は目を開いていて、もう涙は流れていなかった。

しかし、彼の目に映る絶望と苦痛は、涙を流すよりも辛そうに見えた。

野井北尾は苦労して彼を支え起こし、部屋に連れて行った。

全過程で、松下牧野は抵抗せず、魂のない人形のように、野井北尾の動きに従った。

松下牧野を慰める言葉は、お爺さんに言ったものとほぼ同じだった。

実際、田口優里のことを持ち出す以外に、野井北尾は彼らの関心を引くことができるものを知らなかった。

彼は多くを語ったが、松下牧野は全く反応しなかった。