第459章 私たちは同じ道を歩んでいない

松下牧野は顔を拭った。「僕はずっと沙梨を妻だと思っています。あなたは彼女のお父さんであり、僕のお父さんでもあります」

老人は鼻を鳴らした。「認めるつもりはないがね」

松下牧野は田口優里の方を見た。

松下牧野が墓前で言ったことを、野井北尾は田口優里に伝える勇気がなかった。

しかし田口優里はバカではない。松下牧野のここ数日の様子や、野井北尾の反応を見て、松下牧野がどれほど悲しんでいるかを理解していた。

もし彼らが皆亀山家の旧邸に戻るなら、松下牧野一人をここに残すのは田口優里も心配だった。

しかし彼女も知っていた。松下牧野と自分の母親は正式な婚姻関係になかったこと、そして昔の出来事のために、亀山家の人々は松下牧野に大きな不満を持っていることを。

おそらく老人は...松下牧野が一緒に住むことに同意しないだろう。

自分が残って松下牧野に付き添うとしても、老人と叔父を離れるのは忍びない。

一時的に、田口優里はとても困っていた。

野井北尾ももちろん心配していた。

しかし彼は亀山家の人々の前では自信がなかった—結局、前科のある人間だから。

自分に自信がないのに、松下牧野のために話すなんてできるはずがない。

彼が一緒に行けるだけでも、天に感謝すべきことだった。

これも老人が彼と田口優里のことを知らないという前提での話だ。

野井北尾は思った。もし亀山家の人々が全てを知ったら、自分も松下牧野と同じ扱いを受けるだろうと。

おそらくその時は追い出されるかもしれない。

野井北尾はそう考えただけで、悲惨な気持ちになった。

松下牧野ももちろん、自分には資格がないことを知っていた。

しかし田口優里と子供と離れることは、彼にとって絶対に受け入れられないことだった。

彼は助けを求めるように田口優里を見つめ、その目は哀れっぽかった。

ここ数日、子供の世話はほとんど彼がしていた。

田口優里のために料理する時間さえなかった。

もちろん、こんなことが起きて、料理する気分でもなかった。

彼はもう生きる気力さえ失っていた。

以前も子供を抱っこしたり、あやしたりしていたが、今のように常に子供と一緒にいることはなかった。

以前から、彼は田口優里と子供を命よりも大切にしていたが、今はさらに子供と離れられなくなっていた。