第54章 彼女の顎を掴む

奥田梨子は鈴村烈が彼女を呼んでいるのを聞いて、まずカードで会計を済ませ、領収書を受け取ってから彼のところへ行った。

「奥田秘書、私のいとこが畑野さんのために服を買いたいと言っているんだが、彼女にアドバイスをしてやってくれないか。」

言い終わった後、鈴村烈は自分が愚かだと感じた。

「待って、奥田秘書も役に立てないかもしれないな、彼らはほとんど会ったことがないから。」

畑野志雄と奥田梨子が知り合いであることは、外部に漏れていなかったので、鈴村烈は知らなかった。

山田青子は彼を横目で見て、笑いながら言った。「烈さん、ご心配なく。奥田さんは畑野さんと知り合いですから。お手数をおかけしますが、奥田さん、私はどのサイズを選べばいいのか本当に分からなくて。」

奥田梨子はうなずいた。彼女は服の色やタイプを選ぶのを手伝うことはせず、ただサイズを一つ選んだ。