奥田晶子は車に乗り込んだばかりだった。
彼女はまた別の見知らぬ人からメッセージを受け取った。
先ほど写真を売った相手ではなく、別の人物からだ。
見知らぬ人、【奥田さん、1億で奥田梨子の孤児院の資料を買いたい】
奥田晶子は1億という金額を見て、少し驚き、少し嬉しくもあった。
この長女は外でいったいどれだけの敵を作ったのだろう。
本当に縁起が悪い。
奥田晶子、【2億なら、写真を1枚売ってもいい】
見知らぬ人、【写真1枚だけでは2億の価値はない、ネガはあるのか?】
奥田晶子は少し躊躇した後、考えて、【3億で、ネガを売る】
見知らぬ人、【取引成立】
河野剣は携帯を奥田梨子に見せた。「奥田さん。」
河野剣は奥田梨子のボディーガードの一人だった。
また、奥田梨子が事故に遭った後、畑野志雄が彼女のために新たに雇ったボディーガードでもあった。
奥田梨子はメッセージを見て、携帯を彼に返した。「ありがとう、彼女に3億を送って、お手数だけどネガを取りに行ってきてください。」
彼女は回り道をして、まずネガを取り戻すつもりだった。
もし最初から70億で写真を交換すると同意していたら、奥田さんはネガを彼女に渡さなかっただろう。
奥田梨子が今心配していることは、奥田晶子がいったいどれだけの写真を印刷したかということだった。
河野剣はうなずき、立ち去った。
*
奥田梨子は車で墓地に向かった。
彼女は床に足を組んで座り、袋を開けて中からスナックを取り出し、墓石の前に並べた。
彼女はボディーガードに川木信行が派遣した尾行者を引き離させ、一人でここに来た。
「橙子、ごめんね」奥田梨子はポテトチップスの袋を開け、一枚食べては一枚を墓石の前に置いた。「私はもっとはっきりと、涼宮陽子を連れて一緒に行くべきかな?」
「わかってる、もしあなたがまだここにいたら、きっと私をバカだと叱るよね。生きられるなら生きるべきだって。」
「この命は、あなたが救ってくれたものだから。」
奥田梨子はため息をついた。孤児院のような写真が外部に漏れたら、どんな変数をもたらすか分からない。
彼女はポテトチップスを置き、バッグから奥田晶子から交換で取り戻したネガを取り出し、ライターも取り出した。
ライターを押すと、炎が上がった。
ネガが燃え始めた。