第65章 ほのかな香水の香り

鈴村烈は奥田梨子を一瞥した。

そして山田青子からの電話に答えた。「あなたが畑野さんとうまくいっているなら、それでいいよ。じゃあ、もう切るね。」

彼は電話を切った。

奥田梨子は顎に手を当て、目を細めた。「10時半に会議があります。」

鈴村烈はうなずいた。この件については、山田青子が何も意見がないなら、彼も勝手に口を出すつもりはなかった。

男が心を落ち着かせないなら、あれを切っても無駄だ。

彼自身も男だが、まだ彼の心を落ち着かせる女性には出会っていない。

この二人の女性が気にしていないなら、それでいいだろう。

「まずコーヒーを一杯入れてきてくれ、ありがとう。」鈴村烈はオフィスに入った。

奥田梨子はコーヒーを入れに行った。彼女は目を伏せた。

山田青子のことについては、仕事が終わったら直接畑野志雄に聞くつもりだった。

合えば一緒に、合わなければ別れる。

実際、大したことではない。

昼休みに、畑野志雄から奥田梨子に今夜一緒に夕食を食べないかというメッセージが来た。

奥田梨子、【いいよ、何時?】

畑野志雄、【5時半に迎えに行く】

奥田梨子、【ok、遠藤テックで待ってるね】

彼女は畑野志雄にメッセージを返した後、涼宮陽子のスケジュールを調べた。その女は今日もまだ恵川市にいた。

奥田梨子は笑みを浮かべ、ゴミ箱を一つ注文し、10倍の金額を支払った。

彼女は店主にゴミ箱を美しく包装して、涼宮陽子が滞在しているホテルに届けるよう頼んだ。

もちろん、贈り主は「川木さん」と記載するように。

奥田梨子は涼宮陽子がゴミ箱を見て「喜ぶ」顔を想像し、目を細めて嬉しそうにした。

その時、ホテルでは、涼宮陽子は奥田梨子がウェイボーに投稿した情報で半日も怒っていた。

本来は奥田梨子に嫌がらせをするつもりだったのに、事態は逆転してしまった。

天田さんはフロントから涼宮陽子宛の荷物があり、贈り主は川木さんだという連絡を受けた。

彼女は自ら下に取りに行った。

この荷物はちょうどいいタイミングで、陽子の機嫌を取るのに役立つだろう。

涼宮陽子は荷物が川木信行から送られてきたと知り、確かに気分が良くなった。

「荷物をまとめて、午後には深谷市に帰るわ。愛しい娘に会いたくなったの。」

天田さんは彼女の表情が良くなったのを見て、微笑んだ。「わかりました。」