第150章 双子どこから?

奥田梨子が起き上がって、畑野志雄の鎖骨をよく見ようとしたとき。

彼女がベッドサイドテーブルに置いていた携帯電話が突然鳴った。

休んでいた畑野志雄は携帯の着信音で突然目を開けた。彼は彼女が起きているのを見て、少しかすれた声で尋ねた。「梨ちゃん、どこか具合が悪いの?」

「ううん、電話よ」

畑野志雄は奥田梨子を支えて座らせ、ベッドの頭に寄りかからせて、彼女に携帯電話を渡した。

辻本剛司からの電話だった。

奥田梨子は指紋認証でロックを解除し、ホーム画面に入って電話に出た。

辻本剛司は「今夜の誕生日パーティーのこと忘れてない?」と言った。

奥田梨子は辻本剛司に謝った。「文恵に誕生日おめでとうって伝えて。体調が悪くて、今病院にいるの」

辻本剛司は奥田梨子の返事を聞いた。

彼は無意識に、今夜突然誕生日パーティーに参加した川木信行の方を見た。

「じゃあ、ゆっくり休んで」

辻本剛司は電話を切った。

「奥田梨子が体調不良で、今病院にいるって」

遠野文恵は辻本剛司の隣に座っていた。「健康が一番大事よ。梨はどこの病院にいるの?明日見舞いに行くわ」

辻本剛司は素直にメッセージで奥田梨子に尋ねた。

奥田梨子はすぐに返信した。

辻本剛司は「光栄病院、1201号室」と言った。

川木信行はお茶を置いて「先に失礼する。仕事の用事がある」と言った。

辻本剛司は心の中でつぶやいた。何の仕事の用事だよ、明らかに奥田梨子が来なかったからだろ。

彼は一度もボスを自分の彼女の誕生日パーティーに招待したことがなかった。

なのに今日、退社時にボスが突然来ると言い出し、誕生日プレゼントまで用意してきた。

本当に気が利くな。

でも明らかに酒を飲むためではない別の目的があった。

病院では、奥田梨子が携帯を置いた後、畑野志雄が彼女にお腹が空いているかどうか尋ねた。

「お腹空いた」

「もうお粥を用意させてある。保温して君を待っていたんだ」畑野志雄は立ち上がり、お粥を取りに行った。

奥田梨子の思考はまだ畑野志雄の鎖骨に留まっていた。

彼女はかすかな小さなほくろを見たような気がした。ほんの少しだけ。

0.5mmの点を紙に打ったような感じ。

普通はそんな細かい点に注意を払う人はいない。