「お母さん、どうして急に奥田梨子の妊娠のことを聞きたくなったの?」
川木敏子は乗馬クラブに行ったが鈴村烈の姿が見えず、今はかなり落ち込んでいた。
ちょうど畑野眉子から電話がかかってきて、彼女の気持ちが紛れた。
「備えあれば憂いなし」
畑野眉子は自分の母親の忠告を聞いて、特に何かをするつもりはなかったが、まずは調べてみようと思った。
川木敏子は冷ややかに言った、「私は奥田梨子のお腹の子供が兄さんの子供である可能性はないと思うわ。どの男の種かしら」
山田江輔が友人たちと川木敏子の後ろを通りかかった時、彼はちょうどその言葉を耳にした。
奥田梨子が妊娠した???
山田江輔は少し眉をひそめた。
「二少、今日は賭けないの?」
彼らは競馬を見に来ると必ず賭けて遊ぶのだった。
山田江輔は畑野志雄の事件のことで、ソーガンの方にも人を派遣して捜索していたため、遊ぶ気分ではなかった。