会議室にて。
奥田梨子は礼儀正しく言った。「遠野社長、こちらは森田財団が提案する買収価格、支払い方法、従業員の待遇などに関する資料です。まずご覧になって、問題があれば話し合いましょう」
寿村秘書は書類を遠野幹也が連れてきたチームに渡した。
遠野幹也は今回、会社の関連チームだけでなく、会社の法律顧問も同行させていた。
双方は不合理な条件について交渉を行った。
森田財団側が提示した買収条件は良好で、進展は順調だった。
彼らは交渉結果を確定した後、午後に正式な買収契約書を印刷する必要があった。
昼時になった。
奥田梨子は遠野幹也たちを森田財団の社員食堂に案内した。
遠野社長は奥田梨子の薬指の指輪に気づき、心の中でひそかに残念に思った。森田様がこんなに若くして亡くなったとは思わなかった。