第218章 気に入った?

「前のワールドモールに停めて。」

奥田梨子は畑野志雄に贈る男性用腕時計を買うつもりだった。

目立たないように、彼女は帽子とマスクを着用した。

寿村秘書が車から降り、ドアを開け、二人はモールに入った。

今日はモールを訪れる人が少なかった。

モールに入ると、奥田梨子と寿村秘書は直接時計売り場へ向かった。

奥田梨子が時計を選んでいるとき、隣で同じく時計を買っている客の会話が聞こえてきた。

「長男の奥さん、この時計はどうかしら?」関口大奥様が隣にいる長男の嫁に尋ねた。

「お母様、さすがお目が高いですね。美玉さんはきっと喜びますよ」大谷鳥華は笑いながら言った。

時々彼女は感慨深くなる。義理の妹は本当に恵まれている。実家では姫君のように扱われ、嫁いだ後も姫君のような扱いで、嫁いで20年以上経っても、実家の人々は彼女を大切にしている。