午後の日差しが事務所の窓から差し込んでいた。
奥田梨子は書類に没頭していた。寿村秘書から金城夫人が彼女を訪ねてきたと聞いた。
彼女は少し驚いたが、すぐに頷いた。「金城様をお通しください。」
数分後、事務所のドアがそっと開き、金城夫人は保温ボックスを手に持ち、微笑みながら入ってきた。
「どうして直接いらしたんですか?」奥田梨子は手元の書類を置き、立ち上がって迎えた。
金城夫人は笑顔で奥田梨子の前まで歩み寄り、保温ボックスを彼女に渡した。「梨子、シェフにオウギとクコの実、ナツメのスープを作らせたの。忙しく働いている人の気血を補うのにぴったりよ。」
奥田梨子は保温ボックスを受け取り、心の中で少し驚いたが、それでも礼を言った。「わざわざ持ってきていただいて、ありがとうございます。」