第248章 あなたを守る

「黛子を連れて南浜の果樹園に遊びに行くつもりです」奥田梨子は淡々と笑いながら言った。

金城夫人はそれを聞いて、一瞬固まった後、笑みを浮かべた。「そうなの、それはいいわね。果樹園は空気がきれいで子供にもいいわ。楽しんできてね、時間があったら今度私が彼女をサーカスに連れて行くわ」

奥田梨子はうなずいた。「はい、ありがとうございます」

金城夫人はさらに数言、奥田梨子に自分をよく大事にして、無理しないようにと言い添えてから、電話を金城信也に返した。

金城信也も心配そうに奥田梨子に体調に気をつけるよう言い、それから電話を切った。

金城夫人は少し憂鬱そうにため息をついた。「娘はまだ一度も私をママと呼んでくれないわ。私はもう彼女に近づこうと努力しているのに」

金城信也は彼女を慰めるしかなかった。「もう少し待ってみよう。しばらくしたら良くなるかもしれない」

金城夫人はうなずいたが、顔の憂いは消えなかった。彼女は仕方なく話題を変えた。「今日、楽田さんが源太のことを持ち出したわ。彼女の娘の彩香はとても良さそうだし、源太はいつも仕事ばかりで」

金城信也は甥の意見を尊重した。「源太に話してみればいい。彼が気に入らなければそれまでだ」

金城夫人はうなずいた。「私もそう思うわ。源太に電話してみるわ」

この界隈の人たちは皆知り合いだが、知り合いというだけで必ずしも話したことがあるわけではない。

金城源太は金城夫人からの電話を受け、彼女が楽田彩香のことを持ち出したとき、特に余計な考えはなかった。「おばさん、今はそういうことを考える余裕がありません」

「わかったわ、あなたには自分の考えがあるのね。あなたったら、仕事は大事だけど休息も大切よ」金城夫人は笑いながら言った。

*

翌日の早朝。

奥田梨子と畑野志雄の二人は起床後、簡単に朝食を済ませ、今日の果樹園行きの準備を始めた。

手塚星司と賀来蘭子が約束の時間にこちらに合流し、みんなで出発した。

南浜の果樹園。

果樹園内は空気が新鮮で、木々にはさまざまな熟した果物がたわわに実っていた。

果樹園はいくつかのエリアに分かれており、果物狩りだけでなく、キャンプエリアでバーベキューやキャンプもできるようになっていた。