第285章 男の小三

電話の向こうから声が聞こえてきた。「結婚式がちょうど始まったところです。すべて手配済みです」

手塚星司は少し目を細め、その眼差しに冷たさが宿った。「よし、計画通りに進めろ。ミスは許さないぞ」

小さな男の子が大人しく傍らに座り、黙って手塚星司の一挙手一投足を見つめていた。

手塚星司は電話を置くと、男の子を見て、優しい眼差しに変わった。「息子よ、これからママに会ったら何をするか分かっているね？」

男の子は力強く小さな頭を縦に振り、笑顔を見せた。「パパ、わかってるよ」

手塚星司は満足げな微笑みを浮かべた。この子は本当に賢い。

車は賀来蘭子と和部山雄の結婚式会場に到着した。

彼は自らドアを開け、男の子も降りると、父子二人、大きな手と小さな手をつないで会場に入っていった。

男性はスーツを着て、男の子も小さなスーツを着ており、大小の二人はとてもよく似ていた。

その時、結婚式会場では。

和部山雄と賀来蘭子が祭壇に立ち、証人の言葉を受けているところだった。

突然、舞台上のプロジェクターが点灯し、男女の情事を映した高画質の映像が流れ始めた。

映像の中の男性は今舞台に立っている新郎の和部山雄で、女性は見知らぬ人だった。

招待客たちは瞬時にざわめき、場は一瞬混乱に陥った。

和部家の人々の顔色が青ざめた。

和部の父は急いでプロジェクターを消すよう指示したが、気まずい雰囲気はもう取り返しがつかなかった。

和部山雄は舞台の上で気まずそうに立ち、顔色は悪く、額には冷や汗が浮かんでいた。

誰が彼をこんな目に遭わせたんだ！

賀来蘭子は眉をひそめたが、怒ってはいなかった。和部山雄に何人の女がいようと気にしないが、誰がこんないたずらをしたのか心配だった。

手塚星司かもしれないと思うと、賀来蘭子は泣きたくなった。

自分で自分を怖がらせるべきではない、彼のはずがない。

畑野志雄は高画質の映像が現れた瞬間、表情を変えずに奥田梨子の車椅子を押して向きを変えた。

車椅子は画面に背を向け、男女の衝突音だけが聞こえた。

女性の快感の声は少し作り物のようだった。

奥田梨子は...実は見てみたかった。

残念ながら畑野志雄の動きが速すぎた。

プロジェクターが消された。

会場は数秒間気まずい雰囲気に包まれた。

賀来蘭子は微笑みながら証人に続けるよう促した。