斎藤央がまだ後の言葉を言い終えないうちに、その砂糖はすでに斎藤彩によって鍋に入れられていた。
「砂糖がどうしたの?炒め物にも砂糖を入れることはあるでしょ」調味料を間違えたことに気づいた後も、彩は動揺や慌てた様子を見せなかった。
彼女は小さなスプーンを砂糖の箱に戻し、炒め続け、自分のミスを全く気にしていないようだった。
央はその一杯分の量を見つめ、不機嫌そうに眉をひそめた。「でも入れすぎだよ」
「じゃあ水を足せばいいわ」
「……」
【笑った、水を足すって知ってるんだwww】
【砂糖を塩と間違えて使って、それでもあんなに堂々と言い切れるのは彼女だけでしょう、水を足すという返答も絶妙】
【斎藤央弟くんが最終的に全部引き受けたね、画面越しでも彼の諦めが伝わってくる】
【弟くん的には:これ、あなた食べられる?私はちょっと怖いわ】
【ハハハハハ全国民の操作は、塩か砂糖かわからない時はまず舐めて確かめるってことだと思ってた】
【前のお姉さん、どうして私がそうしてるって知ってるの?うちに仕掛けたカメラ外してください、ありがとう】
午後、食事を終えた後、みんな片付けを始め、家を入居前の状態に戻していった。
近所の住民たちは彼らが去ると聞いて、わざわざ特産品を持ってきてくれた。
これは彼らが島に来て4日目だった。基本的に朝早く出て夜遅く帰るため、近所の人たちとおしゃべりする時間はほとんどなかったが、お互いの存在は知っていた。
4組のゲストは全員、近所の人たちから海産物の乾物をもらい、次回もぜひ来てくださいと熱心に招待された。
贈り物を持ってきた近所の人たちの中に、村の大友さんもいた。朝比奈初を見たとき、彼は村の幹部としての立場で彼らを見送りに来ており、初に避難所建設の件について全く触れなかった。
この件について初はずっと気にかけていた。
彼女は島にはまだ船を家とする漁師がたくさんいるはずだと知っていた。ただ一時的に見かけないだけかもしれない。
彼女は全員に船を贈ったり、彼ら全員に自分の家を建ててあげることはできない。
避難所を建てることが、現在初が思いつく唯一の方法だった。